作・演出 ふじたあさや

わたしは須磨子!
「ひとり芝居を作ってみないか」と言われた時、すぐ頭に浮かんだのは彼女のことでした。それはお芝居を始めた頃「女優」という題が気になって手に取った一冊の本の中で出会った、松井須磨子。大柄でふくよかな体形、けっして美人と言えないおかめ顔。自分の感情のまま生きる性格。そのため多くの敵も作ってしまう不器用な女。”これはまさに私だ!私は松井須磨子の生まれ変わりに違いない。彼女の遣り残したことを私がしなかれば”と単細胞な私はそのとき思ってしまったのです。その後、そんな事は忘れていたのですが。今回、本格的に彼女に向き合うことで彼女の偉大さを痛感し”げげげっ、若さって大胆!よくずうずうしくそんなことを思ったもんだ”と反省しています。
という訳ではありませんが、今回私が演じるのは須磨子宅で働く女中、正子(須磨子の本名と同じ)。須磨子に憧れ、彼女を慕って押しかけてきた少女(?)なのです。正子こそ実は私、後藤好子なのかもしれませんね。
(初演パンフレットより)

松井須磨子 本名小林正子
(1886〜1919)

信州松代町清野に士族の五女として誕生。
日本初の新劇女優。早稲田大学、坪内逍遙の文藝協会・演劇研究所第一期生としてスタート。
「人形の家」のノラや「復活」のカチューシャでスターとなる。劇中で歌った「カチューシャの唄」や「ゴンドラの唄」は爆発的な人気でこの時代の一世を風靡。
大正八年、師であり愛人であった島村抱月の死を追って「カルメン」の上演期間中。32歳の生涯に自ら幕を降ろした。

★対象年令 中学生以上
★会場条件 ホール